MELC(長岡ゼミ)のブログ

「Artokigawa展」オープンなコミュニティ、寛容なヒト、楽しむココロが地域をよりよくする

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4月18、19日に埼玉県比企郡ときがわ町で『第1回Artokigawa展』というアートイベントが行われました。場所はときがわ町の中心から少し外れ、自然あふれる山間にある木造校舎の旧大椚第一小学校。イベントでは、陶芸や和紙、木工、鍛鉄など、ときがわ町やその周辺でつくられたものを展示したり、ときがわの音楽家や小学生たちによる演奏会をしたり。また、小学校ならではの揚げパン給食や素朴な味のお団子などの出店も建ち並ぶなど、まるでお祭りのような楽しく笑顔のあふれるものとなりました。(イベント当日の雰囲気はゼミ生の栗野彩也華がブログを書いているのでご覧ください→「イベントは楽しむことから~Artokigawa展でのボランティア体験~」

校舎人n.jpg

私はボランティア統括という立場でこのイベントに関わり、事前準備や当日スタッフをするボランティアを集め、スケジューリングやときがわ町の方との連携などを行いました。



Artokigawa展のはじまり

私がArtokigawa展に関わり始めたのは2015年1月から。ときがわ町に住む関根雅泰さんが長岡ゼミにいらっしゃって、ときがわ町についてプレゼンしてくれたことをきっかけに、ときがわ町を訪れました。そのとき、Artokigawa展を企画・開催したときがわ活性会という団体のミーティングに参加させていただきました。(1月にときがわ町を訪れたときのことは、こちらも栗野がブログを書いているので、そちらをご覧ください→「ときがわ町に行ってきた~よそ者という視点~」) 
ときがわ活性会は有志の方々で結成されており、ときがわ町に住む西澤明彦さんという方が、ときがわ町を盛り上げようと動きだし、人を集めたそうです。そして、ときがわ町に陶芸家や和紙職人、木工職人など伝統工芸を行っている方が多かったため、伝統工芸の底上げにより町を盛り上げようとアートイベントを行うことに。活性会のメンバーは、ときがわ町出身の方もいれば、移住したばかりの方、工房をときがわに持っている方などさまざまです。そんな、ときがわに関わる立場や年齢も様々な方々でArtokigawa展の準備がスタートしました。

ときがわ町廊下134.JPGのサムネール画像

つくる過程こそイキイキと

私はボランティア統括として、3月頃からボランティアを集め、4月の週末の4・5日、11・12日、17・18・19・20日にArtokigawa展の準備のためときがわに、友達の学生たちと訪れました。4・5日は、会場となる小学校の掃除を活性会の方々と行いました。小学校は10年前に廃校になったため、校舎の中には10年分のほこりがたまっていました。窓や床をぞうきんで拭いてきれいにしていくのですが、これが地味で中々骨の折れる作業。ですが、掃除に参加した活性会の方々は、みんな笑顔で楽しそうに掃除をしていました。その笑顔は、地元の皆で集まって活動すると言うこと自体を単純に楽しんでいるようでした。60歳を過ぎた方が大半の活性会のメンバーが、とてもイキイキとしているのです。それは、一緒に掃除をしたボランティアの学生も驚くほどでした。Artokigawa展を開催することでときがわ町を盛り上げようとイベントの準備をしているけれど、すでにときがわ町は盛り上がっているなとこの時感じました。

活性会と学生ボランティアにより、小学校の掃除は2日でほぼ終了しました。次の週の11・12日は小学校内の案内図と机や椅子などの会場準備。イベントが1週間後に迫っているため当日の動きや役割分担の確認も行ったのですが、この段階で決まっていないことや最近決まったことなどがどんどん出てきました。活性会のメンバーがそれぞれ忙しいことと、メンバーやイベントに関わる人が多いということで全体を把握するのが難しい状況だったのです。でもそのことに対し、比較的みんな、なんとかなるだろうと思ったいました。もちろんある程度は全体像の把握もしますが、”細部までこうでなければいけない””成功する保証がないのに”という固定観念はなく、”やってみなきゃ分からない””なんとかなるよ”という想いをそれぞれが持っていたようでした。


この場所でイベントをする”意味”

そして、イベント当日。まず驚いたのは教室の展示物のクオリティーの高さ。展示されているものは事前にいくつか見たことはありましたが、木造校舎の独特の雰囲気とさまざまな種類の作品を並べて見ると、より一層惹きつけられるものとなっていました。

Artokigawa展ワインカゴ 080.JPGのサムネール画像

△木の細工、とても繊細で校舎と雰囲気がとても合う

Artokigawa展 新聞バック087.JPGのサムネール画像

△新聞紙でつくられたバック。手作り体験もできました。

Artokigawa展蓄音機 094.JPGのサムネール画像

△2メートルほどの蓄音機

Artokigawa展 小さいお家104.JPGのサムネール画像

△とてもリアルな小さなお家

Artokigawa展 器124.JPGのサムネール画像

△地元の窯元がつくった器たち


青空の下、Artokigawa展は開会式と和紙のテープカットからはじまりました。そして、子連れの家族や年配の夫婦、おばあちゃんのグループなどさまざまな方が来場。中には会場の小学校出身の方もいらっしゃいました。みなさんおいしいものを食べたり、普段できないものづくり体験をしたり、走り回って遊んだり、ゆっくりアートを楽しんだりしていました。

Artokigawa展 子ども積み木204.JPGのサムネール画像

Artokigawa展 おばあちゃんたちいい笑顔284.JPGのサムネール画像Artokigawa展 かわいい夫婦244.JPGのサムネール画像


イベント中、私が一番印象に残ったのは、廊下に飾られた写真を見る方々。この写真は、イベントの前日にいきなり西澤さんが300枚ほど持って来て、廊下に1枚1枚学生ボランティアも一緒に貼ったものです。その写真には、今まで小学校で学んできた子どもたちの姿がありました。卒業式や遠足、日常の風景など。10年前のものから白黒写真のものまで。廊下に飾られたそれらの写真は、来場した卒業生たちに懐かしんでもらうため。また、写真は持ち帰り自由。自分が通った思い出の小学校で懐かしい写真を眺め、当時に想いをはせ、その想いを家まで持ち帰れる。そんな粋なはからいがされていました。写真をみた卒業生たちはとても嬉しそうで、「懐かしい!」「こんな写真なんであるの(笑)」とみなさん笑顔。旧大椚第一小学校でイベントをやる意味がそこにはあったと思います。

Artokigawa展 懐かしい写真272.JPGのサムネール画像

地域をよりよくするために必要なこと

こうして、イベントはとても温かく、楽しいものとなり、2日間でおよそ4000人もの来場者で大盛況。でも、たくさんの人が来るだけでなく、ちゃんと参加者も主催者もボランティアもみんなが楽しめたイベントとなっていました。こうしてイベントが成功したのは、いくつか要因があると思います。
まず、Artokigawa展企画や準備にさまざまな立場や年齢の人が関わり、学生ボランティアなどよそ者も受け入れるオープンさがあったこと。また、イベントに対して最終的には”やってみなければわからない””なんとかなる”という前向きな空気があったこと。さらに直前まで、よりイベントをよくすることを考えていたこと。そして何より、イベントをつくり上げる過程でみんながイキイキと楽しんでいたことが大きいと思います。
「地元を盛り上げたい」と思ったとき、ついつい「こうしなきゃいけない」と肩に力が入ってしまいがち。でもそこで、「自分たちが楽しむこと」を忘れない。「自分たちで自分たちが楽しめるものをつくる」ということを意識しなくても、ときがわ町の方々はできているのかなと感じました。こうして、1から多くの人たちでつくりあげた場に関わることができて本当によかったです。


カテゴリー: Sarah 越境レポート

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