MELC(長岡ゼミ)のブログ

手話のできない聴者の私

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秋晴れだった先週の日曜日、高校時代の友達に誘われて、みみカレッジに参加しました。

みみかれっじ6

みみカレッジとは、東京都が主催する手話や聴覚障害について理解を深めるための1DAYイベントで、大学生の手話サークルの発表や、基調講演、デフリンピックのメダリストの報告会、ワークショップなど多数の催しが開かれていました。私は、ワークショップ「異言語脱出ゲーム~みみカレ大学からの卒業~」に参加しました。
開始時間ギリギリで焦って教室に入ったとき、驚きました。すでに20人くらい居たのですが、シーンと静かだったのです。というのも、みんな手話でおしゃべりをしていました。「わ、どうしよう・・・。手話できないよ・・・。」と思わず心の中で嘆きました。近くにいたスタッフの方に、「手話ができないのですが、参加して大丈夫ですか?」と聞いたら、(その方は耳に障害のある方で)” こっちおいで ”と手で誘導してくれました。異言語脱出ゲームを行うためにすでにグループに分けられていて、私は教室の一番奥のグループに入りました。すでに手話で盛り上がっていたし、その会話の輪に入れない・・と怖さを感じていました。「開始時間までお互いに自己紹介をしていてください」とスライドに書かれていて、私を含めた6人で自己紹介が始まりました。私の番になったとき、とっさに、配布資料にペンで名前と事情を書いて伝えたら、” うんうん “ と言って、” じゃあ、そらって呼ぶね” とそらの手話(パーの手を左から右に動かす)を教えながら伝えてくれました。「よかった、受け入れてくれた・・。」とちょっとした安堵感が生まれました。

みみかれっじ2

このとき感じた、「会話の輪に入る怖さ」と「理解しようとしてくれる嬉しさ」は昨年オーストラリア・シドニー大学に交換留学をしていたときに持った感情とまったく同じでした。つまり、留学以来の「マイノリティ」を体験をしていたのです。
留学当初はほとんど英語ができなかったので、授業の教室に入るのも、教授の説明が終わって皆が議論を始める瞬間も恐怖でした。なぜなら、他の学生が盛り上がっている話題を理解できず同じタイミングでリアクションできないため、一人だけ輪の外にほっぽり出されているような、みんなに邪魔なやつだと思われているような気分になるからです。そんな恐怖感を常に根底に持っていたので、オーストラリアの学生が私の拙い英語を理解してくれようと頷いてくれている時や、「なるほど、でも私はこう思う。」と目を見て意見を返してくれる時は、やたら嬉しかったのです。
みみカレッジでも、みんなが手話でおしゃべりしているのに私だけ内容が分からない状況に疎外感を感じていましたし、ある女性が私の拙い筆談と口語を理解しようとしてくれたときはすごく嬉しかったです。【手話のできない聴者の私】は、マイノリティでした。普段のマジョリティ側では気づかない「疎外感」や「居づらさ」「理解者がいることの安堵感」が、マイノリティの人々の中に常にあることに気づきました。
みみカレッジの会場を一歩出たら、私は耳が聞こえるマジョリティになります。手話ができなくても困らない、疎外感を感じない、誰かとコミュニケーションをとることに怖さを感じない、マイノリティの存在を無意識に忘れてしまう、マジョリティ側の【手話のできない聴者】です。 

みみカレッジの参加を通して、マジョリティとマイノリティについて考えました。
これまで、「私は多様な人を受け入れることのできる人だ、多様性の考えを持っている人だ」なんて間抜けなことを思っていました。なぜなら、一般的にマイノリティと言われる、LGBTs、障害者、高齢者、外国人や、社会的に困難にある、貧困の子供や、子育て中の女性の問題に触れていたからです。しかし、それは違うんじゃないかと気づきました。マイノリティの人の問題に触れたことがあっても、実際にマイノリティの人が抱える「疎外感」「居づらさ」「少しでも理解しようとしてくれる人がいる安堵感」は体験してみないと理解できないものだったからです。
そして、どうしたら多様性のある社会になるのかを考えました。そのヒントを、ワークショップ「異言語脱出ゲーム~みみカレ大学からの卒業~」から得ることができました。異言語脱出ゲームは、ろう者と聴者が混ざったチームに分かれて様々なお題を解いていき全ての問題を正解したチームが勝ちというワークでした。様々なお題の中には、聴者とろう者が協力しないと解けない問題に設計されているものがいくつかありました。このワークを通して、多様性のある社会をつくるヒントは、「マイノリティの人とマジョリティの一緒に何かを行い、お互いに役割があることを実感すること。」なのではないかと気づきました。そして、「協働」を通して、マイノリティの人が抱える「疎外感」「居づらさ」を少しずつ解消していくことができるのではないかと思うようになりました。

みみかれっじ4

カテゴリー: ミソラ 越境レポート

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