MELC(長岡ゼミ)のブログ

オーダーメイドのコミュニケーションを考える

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7月16日土曜日、僕が所属する長岡研究室とNPO法人キッズドア(http://www.kidsdoor.net/index.html)の合同企画イベントが行われた。企画と言ってもカタイ催し物ではなく、中学生に大学を見学してもらうというものだ。リンク先に詳細が載っているが、キッズドアは経済的に苦しい家庭、ひとり親家庭という困難な状況に立たされている子どもたちにも公平なチャンスをつかんでもらえるようにと学習支援を行う団体で、僕も主に去年の末、今年の初めにかけてボランティアとして関わってきた。国数英理社といったオーソドックスな5科目の学習支援はもちろんのこと、大学生と中学生という立場の違いから生まれる会話も大切な関わりの合いとなっている。

もともと長岡研究室OGの小杉さんがキッズドアに就職したこともあって両者の関わりは強かったように思う。僕がボランティアとして関わりだしたのも小杉さんの紹介だ。小杉さんの話によると、生徒の中には大学や大学生がとても遠い存在に感じている子も少なくないらしい。だから今回は大学を身近に感じてもらうためにキッズドアで大学見学ツアーを企画するので、長岡研究室のみんなには生徒たちと夢中になって取り組めるワークを企画して欲しい。との提案があった。

考えてみると自分の中学時代、大学は身近なものではなかった。浪人時代に慶応大学や立教大学に忍び込んだりしたが、その時初めて大学キャンパスや大学生をまじまじと見たと記憶している。同時にその経験が自分自身のこれからの姿を想像するきっかけとなりモチベートされたとも覚えており、生徒にとって同じようなきっかけになれたらいいなと思い企画運営に参加した次第だ。企画チームで話し合い、今回の企画狙いは「楽しむ中で大学生と触れ合って大学そのものを身近に感じてもらう」というものになった。楽しい気持ちと一緒に見学したり遊んだりして大学を実感してもらおうという考えだ。整理するとツアー全体の時間としては11:30頃から15:00頃まで。大学生の僕たちは全体のツアーに参加しつつ、途中企画したワークを実践するといった具合だ。


ツアー当日。この日はよく晴れていて、生徒と大学生の最初の集合場所であるボアソナードタワーのスカイホール(26階の展望階)からは東京が一望できた。今回のツアーでは大学生1人につき2人ほどの生徒がペアとなって進行する形となっていて、僕はかつてボランティアで関わった生徒とペアになった。久しぶりで、もちろん相手は緊張している。たぶんどう関わったら良いかわからなかったのだと思う。そこで僕の方から積極的に関わろうと、窓の外をみつつ「あっちに見えるのは新宿だよー!」とか「あのあたりは東京駅があるんだよ!」といった感じで話しかけた。ただ残念ながらあまり良い反応ではない。「どう関わったら良いのだろう」と考えたが、ここであまりじっくり考えている暇もなく即興的に関わり方を選んでいかなければならなかった。それでも根底にあった「仲良くなりたい」という気持ちに変わりはなく、消極的な反応をされても(押し付けとならないように、控えめでも)関わり続けようとした。その後食事の時間となったが積極的に話しかけるのではなく、生徒が話し出すのを待ち、そこから会話をしてみようと思った。すると夏休みやお祭り、はたまた宿題といった生徒にとって強い自分ごとの話となる。ここでかなり打ち解けられたように思うし、やっと関わり方をつかんだような気がした。

そしていよいよ僕ら大学生の企画の時間となった。内容はというと「kaplaブロック」という木製のブロックをチーム対抗でひたすら高く積み上げるというワークだ。置き方によって高さは稼げるけど崩れやすい、とか、安定しているけど高さは稼げないといったことがあり「どうやって積み上げようか?」と大学生、中学生混じってみんなで必死になって考えた。1位のチームには(豪華)法政大学オリジナルグッズが贈呈されるということも予め伝えられ、みんな熱が入る。チーム分けは最初のペアが中心となっていたが、食事の際にコミュニケーションが取れていたので作戦会議、積み上げの時間もうまく意思疎通ができた。チーム対抗だったこともあり「仲間感」が増したようにも感じ、生徒の方から「どう積み上げようか?」と尋ねられたことから、協力者としての関わり合いができたように思う。 

13833226_1182273845157355_963516384_o.jpgツアーの最後にペアの生徒から「また(学習支援の現場に)遊びに来て欲しい、八月中には来てね」と言われたことが強く印象に残っている。この言葉には本当に嬉しかった。そして同時にオーダーメイドのコミュニケーションの重要性を再確認したように思う。人の話を聞くのが好きな人、話すのが好きな人、自分のことを聞かれるのが好きな人、嫌いな人など色々な軸があると思うが、人それぞれ取りたいコミュニケーションの形は違ってくる。今回の僕は最初の振る舞いとして、”当たり障りのないコミュニケーション”を取っていたのだと思う。しかしそれではうまくコミュニケーションができず、相手がどんなコミュニケーションのかたちを望んでいるのかを考え、自分の振る舞いを変えた。その結果次につながる関係性が築けたのではないかと思う。今回は中学生との関わりだったが、普段の越境活動でローコンテクストコラボレーションを実践する時にも当然大切になってくる姿勢だと思う。初対面の相手でも相手への興味を抱き続け、対面する相手一人ひとりへのコミュニケーションのかたちを変化させることで一緒に活動するという道が開けてくるのだと思う。

カテゴリー: けんちゃん

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