MELC(長岡ゼミ)のブログ

レジリエンス大喜利WSから学ぶ、より良く困難に向き合うための多様な視点

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◎はじめに


5月24日、東京大学本郷キャンパスで行われたワークショップイベント「レジリエンス大喜利?! ~学生生活におけるストレスフルな出来事からの回復方法を学ぶ~」に参加してきた。主催するのは、東大大学院にて「キャリア・レジリエンス」をテーマとして研究する池田めぐみさんと、彼女が所属する研究室のOBであり、現在は東大大学院特任助教として創発を促すワークショップについて実践・研究されている安斎勇樹さんのおふたり。池田さんの博士課程への進学をきっかけに、せっかくだから一緒に何かやろうという話になり、このワークショップを開催することになったそうだ。

レジリエンスとは、困難な状況から精神的に回復するちからのことを言う。そして池田さんによればそのちからを養うためには、「問題を解決できる!」という感覚を持つことが重要なのだそうだ。そして今回はワークショップという手法を通して困難から立ち直る方法に数多く触れ、自分の得意な立ち直り方を見つけることを目的としていると、このイベントの趣旨について話してくれた。

それにしてもなぜ大喜利なのだろうか。その理由については安斎さんの方から語られた。

“キャリア・レジリエンスという重いテーマを扱うと、問題解決能力をいかに向上させようとするか、あるいは悩みをいかにケアするか、という方向に二極化しがちなんですよね。中庸があまりない”

“そこで今回は、大喜利という形式をとることで、困難な問題をより多様な観点からとらえられるようになる機会になれば、と思っています”

 

◎大喜利ワークショップ


自己紹介と池田さんによるキャリア・レジリエンスに関する簡単な講義を終え、いよいよ大喜利のワークへと入っていった。大喜利は12名いた参加者が3つの班に分かれ、対抗戦形式で行われた。池田さんから与えられる「困難なシチュエーション」に対する「最善の対処」をチームで考え、発表する。その後、参加者間で投票を行い、順位を決める。投票の基準は「自分でもできそうか」と、「ちゃんと困難を対処できているか」の2点。数問続けて行い、総合的な得票数が一番高かったチームが優勝となる。

ワークを通して印象的だったのは、お題に対する各チームの答えが、驚くほどばらばらだったことだった。例えば、

“ずっと昔からあこがれていたオリ○ンタルランドへの内定が決まっていたにもかかわらず、単位の計算を間違えて留年してしまった!あなたならどうする?!”

というお題に対する、各チームの答えがこちら。

 

海外のディ○ニーに就職する。(9月入社だから)

 

Twitterで同じく留年した人を探し、一緒にやけ酒を飲む。

それから再度応募する。

 

インドに行き、自分の価値観を変える。

 

ひとつ目の班は「オリ○ンタルランドに就職する」という当初の目的を、海外というさらに広い視点からとらえることで、新たな具体的な目標を見つけている。それに対してふたつ目の班は、あくまで日本のオリ○ンタルランドへの入社にこだわり、そのためにまず自身のケアを最優先に考え、行動している。そして最後の班は、もはや当初の目的から逃避し、自身の価値観を変えることで、新たな道を模索しようとしている。

チームの意見として採用されなかったものの、ほかにも「行きたくなくなるまでディ○ニーに毎日行く」や、「しれっと入社する」「先生に頼み込む」などの意見が個人から出ていた。それぞれのアイデアに発案者の困難に対処する際のスタンスや考え方が表れており、やってみたいと思うようなアイデアもあれば、そんなの絶対無理! というようなアイデアもあった。そしてそういったほかの人のアイデアと比較しながらワークに取り組むうちに、私自身も、自分が難しい状況下でどのような判断をするのか考え、自分の人柄について今まで考えたこともない部分までより深く知ることができた。

レジリエンスWS

 

◎おわりに


困難な状況に陥ったとき、そこからどうやって立ち直っていくかは人それぞれだ。その選択に正しいも間違っているもないのだろう。しかし今回、ワークショップという他者との活動を経て、困難に対して具体的にどんな向き合い方(あるいはどんな逃避の仕方)がありうるのかを、自分とはまったく異なるほかの人の考え方に触れ、比較することで、幅広く知ることができた。

「こんな2時間程度のワークショップで、困難にうまく対処できるようになれば、苦労しませんよね。でも、実際はそう簡単にはいかない。精神的に強くなるための筋トレもどこかでしなければいけない」締めの言葉として、安斎さんはこのように語った。「だから、今回のワークショップはあくまでストレッチとしてのワークショップ。ただ、ストレッチであっても、今日の活動によって、実際に困難にぶつかったとき、少しでも発想が柔軟になったり、行動の選択肢が増えればいいのではと思います」

 

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