MELC(長岡ゼミ)のブログ

『「Designing Body 美しい義足をつくる」展』に行ってきた。

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S__13017094.jpg6月9日火曜日、東京大学生産技術研究所S棟1階ギャラリーで行われている東京大学山中研究室が主催の『「Designing Body 美しい義足をつくる」展』に行ってきた。

2008年、パラリンピックの映像で、義足で疾走する選手に出会いました。人と人工物の新しい関わりを見出したそのとき、「美しい義足プロジェクト」が始まったのです。今回の展示は、義足プロジェクトの研究すべてをお見せする初めての試みです。(以下略)」(展示会場の説明文引用)

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≫展示会場の説明文と陸上競技用下腿義足2015年版(以下文章参照)

 

実は、かなり勇気を出してこれに行った。パラリンピックのことは知っているがじっくり観戦したことはなく、わたしがじっくり観ることができない理由は、義足のことをよく知りもしないのにこわいイメージがあるからだ。よく知らないからこわいと感じているのだと思ったし、知らないまま見過ごすわけにはいかないと思い、行くことにした。

義足のイメージは「補うもの」だったが、ずらっとならんだ義足と説明書きを観ていくと、どうやらそれだけではないようだ。この場にはスポーツ用義足が多く、たとえば、陸上競技用下腿義足を2008年からひとりの選手のために開発してきたものがずらりと並んでいたり、陸上競技に適した軽い素材(ドライカーボン)を使用した義足があったり、それを実際に使用している様子を動画で流してたりしていて、補うことよりも高度なことが行われているように感じた。

≫陸上競技用下腿義足の展示。
内側と下に伸びる足がピンクなのは、これを使用するパラリンピック日本代表の高桑早生選手のこだわりだそう。機能面以外で色をつけることも新しく思えたし、かわいさがある義足をはじめて観た。

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S__13017099.jpg≫『女性用大腿義足』

この日観た義足の中で、一番衝撃的で感動したのは、『女性用大腿義足』というタイトルで展示されていたものだ。これはスポーツ用義足ではないが、タイトル通り女性用の義足だ。義足に性別別の用途があるとは思ってなかったので驚いたのだが、一般的なスカート用の義足は、人の足に似せた肌色のカバーがかかっているそうだが、ここで見たものはアルミと樹脂でできていた。金属の質感が全面に出ていて表面はつるっとしていて、かっこよさすら感じた。スネとふくらはぎの白いパーツは着脱可能で、パンツスタイルのときに形状を保つ役割を果たすそうだ。義足に2wayの使い方があるとは思ってもみなかった。さらに、この義足にはかかとのようなものがあり、ヒールの靴のようなすっきりとした印象を受ける。機能面はもちろん、日常生活において、義足をしたときの見た目を重要視しているところに心底感動した。スカートでもパンツスタイルでもどちらも自身を持って履くことができそうだと思った。

わたしが街で見たことがあるのは、義足の存在を隠そうとすることから「肌色」にしたり、できるかぎり形や質感を人の皮膚に近づけようと「人の足らしさ」を付け加えたりしているもので、隠しきれなかっただろう接続部のところからは銀色のボルトが見えていることが多く見てはいけないような気持ちになったことがある。頻繁に見かけるわけではないが、わたしには衝撃的で強く印象に残っている。今回見たものには隠そうとする工夫はなされておらず、「銀色」や「黒」だったり「アルミ製」だったりしても、素材そのものの美しさを引き出しながら形を工夫していたように思ったし、その方が自然だと思ったし、人の足らしさを無理して出すよりもずっと「らしく」見えた。

足の指の形を模したものはひとつもなかったことに見ている途中で気づき、もう一度丁寧に義足を見ることにした。もう一度観て知ろうと思えたのは、義足に一方的に抱いていたこわいイメージが払拭されていたからだと思う。義足の見た目を気にしているのは義足をしている人よりも、健常者の方なのではと思った。今回の展示を見て、軽量化するための空洞があったり、素材そのものの色だたりしたが、これらをわたしは受け入れられたし、展示として見ていたということはもちろん関係しているのかもしれないが、見てはいけないものを見ている感覚はなかった。

 

義足をデザインすることで、日常生活や競技と義足の関わり方をデザインしてきたのではないかと感じた。こんなにかっこいい義足があることを万人が知っているわけではないと思うので、もっと広まったらいいなと思う。ひとりの選手のためにつくってきたことや、女性のためにつくったものを見たことで大事だと思ったのは、ひとりひとりに合わせたものをつくること。必要としている人がいるならその人に合わせた、その人が一番使いやすいものを、必要な人に必要なものを考えてつくることが必要だと感じた。

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カテゴリー: みきてぃ 越境レポート

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