MELC(長岡ゼミ)のブログ

こだわりから統一感が見えたフィールドワーク展『両想い』

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2/9月曜日、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部加藤文俊研究室(以下、加藤研)のフィールドワーク展『両想い』に行ってきた。


≫会場でもらったパンフレット。これをもらったことによりじっくり考えるモードに切り替わった。

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10628580_659192960893562_2593962949442158465_n.jpg≫自宅に届いたハガキ。


1月の終わりに自宅にハガキが届いていた。両想いの日時と会場Bankart Studio NYKの場所と展示している人の名前などが書かれたかわいいハガキだ。黄色と緑の三角が散りばめられており、とても印象に残っている。

このハガキを手にしたときからどこかこだわりのようなものを感じた。この三角の意味はなんだろう、なぜこの三角は優しい配色になったのだろう、誰がつくったハガキなのだろう、どんな展示をしているのだろう、どんな人と会話することができるんだろう。場所の確認をするために今回のフィールドワーク展のホームページをチェックすると黄色と緑の三角がひらひらと舞っていた。気になることがたくさんでてきた。フィールドワーク展の最終日にわたしは駆け込んだ。

作品のことについてはたくさんの方がブログにしたりtweetしたりコメントしたりしているのを目にしたので、わたしは特にこだわりを感じ、興味を持った展示の方法について書くことにする。


こだわりを感じたのは、上から吊るす展示の方法だ。渋谷をフィールドワークした作品の展示『渋谷をはかる』は2、3年生が班ごとにどんなことがわかったか、発見は何かなど班ごとの視点をまとめたもので、班の数だけ展示をしてある。

とても広い会場のため壁に貼るのでも十分に見やすい展示と思うのだが、そこをわざわざ天井から糸で吊る方法で展示している。そのおかげで、印刷のされていない面の方に立っていても手で紙の下を持ってくるりと回せばその場にいながらにして見ることができる。フィールドワークをした本人や加藤研の人に説明をしてもらっているときでも紙の後ろにまわる必要がなく、話を中断することなく話をすることができる。

≫一列に並べて吊るしてある。それだけで動線が見えて「順路」と書かなくても道が見える。紙の下を持ってくるりと回すことができる工夫がされているため、説明しやすいし聞きやすい。

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一見見やすく展示するのは普通のことだと思いがちだが、誰がどうやってこの仕組みをつくったのだろう。わたしは最終日の最後の時間まで会場にいたため、撤収作業を見ていた。次々に作品を回収してゆく。『渋谷をはかる』の回収の様子を見ていた。展示物を手で取り、紙の上を吊っていた三角の木のフックを取る。重みがなくなったため吊っていた糸がたるむ。それを回収するのには天井が高いので建設現場で使うような足場を組みひとつひとつはずしていた。足場を解体して、これで『渋谷をはかる』は回収された。


ということは、だ。これの逆再生をすると組み立て作業になる。加藤研の人がテキパキと行き交う撤収作業をわたしはしばらくの時間ながめていた。ひとりでは足場は組めないし、アイディアがあってもひとりで形にしていくことはむずかしい。『渋谷をあるく』の展示は時間も手間もかかっていて、こうしたい!と実現するために全員が考えて動いてできたものだったということを想像できた。

会場で話した加藤研3年の原田さんのアイディアだそうだ。「ここは最後までこだわってやりたいと言い続けて、みんなでつくったんだ。」


こだわりはこれだけではない。

紙の上を吊っていた三角の木のフックに注目した。クリーミーな黄、緑、白の三角の木で、この色使いはハガキやパンフレットにも使われており、両想いのテーマカラーのようだ。

1723088_659185407560984_5445663633350442620_n.jpg≫フックをつけた三角の木。これをみつけたときは心が弾んだ。(写真は撤収作業のときのもの)


原田さんによると、ペンキで三角の木も塗ったそうだ。全体の雰囲気に統一感を出したくて細部までこだわったとのことだった。木製の丸椅子を指し、「これも塗ったんだよ。もとは座るところは原色だったんだけど、そこをやすりをかけて、その上から塗ったの。」と話してくれた。ペンキの色はもちろんクリーミーな黄、緑、白だ。


こうしたい!と頭で描いたイメージや思いを形にしていくパワーを会場から感じた。展示を見にくる人を意識しているからだとわたしは思う。たのしんでもらいたい、自然な流れ、動線で違和感なく作品に触れてほしい、という純粋な思いからなのではないか。撤収作業から、こうしたい!を形にすることは簡単なことではないとも思ったが、こうしたい!はきっと最善を尽くしているから思うことで、この思いは新しいことをするにおいて大事なことだとわたしは思った。自己満足ではなく、全体を考えることができてこそのこだわりを持つことで、見て欲しいところをしっかり魅せることができたのではないかと思う。

見に来た人と迎える側の人は、こだわりの詰まったこうしたい!パワーに包まれながら、作者と会話したり、作品と会話したり、作品を通じてのコミュニケーションがうまれ、これも両想いのひとつのかたちなのだろうとに感じた。

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カテゴリー: みきてぃ 越境レポート

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