MELC(長岡ゼミ)のブログ

振り返って見える、FLEDGEという学び場

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   9月から半年間かけて参加していたワークショップデザインの勉強会FLEDGE7期。気がつけばあっという間に終わり、次の期(8期)が始まっている。怒濤だった7期の経験。やっと落ち着いて振り返れる今。ブログの場を借りて振り返ってみようと思う。
 
   FLEDGEとはNPO法人educe technologiesが主催し、「これからの社会のために、よりよい学びとは何かを考え、学びの場を自ら創りだし、増やしていく」というコンセプトのもと、理論と実践を行き来しながらワークショップを学ぶ大学生向けの勉強会だ。半年かけてメイン活動のみをデザインするプレ実践や本実践、本実践の報告会を含め学びの場づくりをしていくプロセスを体験するプログラムだ。
 
Educe Technorogies FLEDGE
 
   そもそも私がなぜFLEDGEに応募しようと思ったのかというと、3年生前期に越境した様々な学びの場への参加がきっかけでワークショップに興味を持ったからである。座学では得られない納得感のある気づきや、参加者同士がつながり合いその場を離れてもお互いを刺激し合う持続的なコラボレーションを得ることが出来るワークショップという場に魅力を感じていた。私もこんな場を作れるようになりたいな、と思ったことがFLEDGEへの参加動機である。
 
   7期が始まり、4人ずつ3チームに別れて実践に向けてグループワークが進められた。私のチームは「チームもやもやもやい」というチーム。私は一瞬でこのチームが大好きになった。法学部で交渉を学ぶほっしゃん、美術教育に興味のあるぐりこ、ツイ廃でありながらBOPビジネスに興味を持つかっつんの多様な興味をもっていながらすごくノリも良く、たまに真面目。チーム結成後、第1回目のミーティングは4人でどんなワークショップをしていきたいのか、どんな問題意識があるのかという価値観の擦り合わせをした。ミーティングの内容は今でも強烈に覚えている。みんなが口にしたのは「ミッションを問いたい」という思いだった。
 
   しかしミーティングを重ねるごとに段々ズレが生まれていく。12月のプレ実践ではカバンの私物チェックして性格診断をするワークをしたのだが、コンセプトがあやふやな実践だった。勉強会の時に学んだはずの「WS初心者はワークのデザインだけを考えて学習目標があいまいなことが多く、失敗する」という教訓が全く生かされていなかった。この失敗を生かして次の本実践はより良いものを!という気持ちは年越しのバタバタや就職活動の本格化、卒業シーズンなどでかき消されていった。
   年明けからのチームもやもやもやいは私の就職活動、ぐりこのイギリス旅行やほっしゃんのインターン、さらにはかっつんのインドでのフィールドワークなどでみんなバタバタしていた。日程の調整ができなく、いつも誰かが欠けた状態でのミーティングが続いた。さらに、議事録をとっていなかった事が不参加者への文脈共有に大きな障害をもたらした。Facebookのグループ上では積極的に議論はできていたが活字の議論では限界があり、チグハグさはどんどん増していった。
   本実践に向けて1月の報告では「SNSについて考えること」になったかと思えば、2月の勉強会での報告は「無声演劇をつくる」ことになったりグダグダだった。なかなか会えてなかったぐりこに久々に会えば「なんでこんな方向になってるのかがわからない!」という一言。ある程度想定はしてたがすごくグサッときた。他にもミーティングのことでディレクターの人たちにもものすんごく心配された。いろんな現象が起きていたがとにかく、うまくいってなかった。無声演劇の一件のあと、ぐりこと「チームとしてのワークショップになってないね」という話になった。大事なことから目をそらさず、もう一度ちゃんと会って話をしよう、と。
 
   その後もなかなか時間が合わず、一番暇人だった自分がひとりひとり個別インタビューする方法をとった。どういうWSにしたい?と個々のウォンツを引っ張り出すようにとにかく聞きまくった。そして自分の本当の気持ちを伝えた。みんなの中に共通していたのは「もやいだからできるWSにしたい」「いいWSをつくりたい」という思いと、「ミッション」という第1回のミーティングで話していた問題意識だった。もやい 本実践作品.jpg
   この思いが自分をはじめチームにドライブをかけ、崖っぷちにいながらも最後の本実践まで走り抜くことができたのだと思う。本実践では第1回目のミーティングで話していた「ミッション」というキーワードに立ち返り、大学生向けにアレンジして、「40代の理想のライフスタイルをレゴで創造することで、いまの意義を考えるワークショップ」というテーマで実践をした。運営の準備が直前のギリギリになってしまったため集客や運営など予定通りいかなかったり、議論が発展せず静まってしまう場面もあったが、会が進むと想定外の議論に発展するなどの良かった所もあった。実践してみて学んだことは、ワークショップって生き物みたいなんだなと思った。ファシリテーターのちょっとした言動で場の方向がすごく変わったりする。それは悪い方向にも良い方向にも発展する。私たちのチームはシュミレーションが圧倒的に足りなかったので、悪い方向への影響はシュミレーションをしてれば少しは押さえられたのかなと思った。ただ、ワークショップに参加してくれた人が「楽しかった。すごく考えさせられたよ。」と言ってくれて、純粋に嬉しかった。
 
   こうして私たちのFLEDGEは終わった。7期全体としてはとても元気で、オフィシャルな勉強会の他に自分たちで自主的に参考文献を読み読書会を開くなどグループを越えた活発なやりとりができたと思う。 ワークショップのデザインの勉強を学ぶのが当初の目的だった半年前。確かに、半年間ワークショップの事についてで頭がいっぱいだった。参加する前よりは少し理解は深まったのかもしれないし、実践もできるようになったのかもしれない。
もっと重要な事をFLEDGEという場では学んだ気がする。グループでものを創っていくときに何が大切なのかということ。「私(たち)は何をしたいのか?」「何を創りたいのか」という思いを明確に持ち、グループ内できちんと意味を共有することがとても大事なのだなと実感した。ビジョンに全員が納得し、それに向かって取り組むならばきっと想像もできないようなコラボレーションが起き、よりよいものづくりができるようになるのだろう。
FLEDGEをプロデュースしていただいた山内先生安斎さんはじめ、ディレクターの4人、良い刺激となり互いに切磋琢磨できた7期のメンバー、そして何より本気でぶつかり合い、最後までやり通した仲間「チームもやもやもやい」のほっしゃんぐりこかっつんに本当に感謝している。ありがとう。
 
   本実践がおわり、報告会のためにもやいで集まった時(お決まりのごとく個別インタビューなんだけど)にみんなが「またもやいでワークショップをするなら同じテーマでやりたい」と言っていたのがもやいの納得感を表しているのではないかなと思う。また何年かしてメンバーで集まりチームが再結成されたらなと勝手に楽しみにしてる。本当は今すぐやってもいいぐらいなんだけどね。
 
   そして今、私は8期のディレクターとして勉強会を企画する立場になっている。参加者のみんなには私ほど激しくはなくていいけど、妥協せずチームのメンバーと本気でぶつかり合ってほしい。相手とぶつかり合うことで生まれるお互いの違いが議論を生み、そこから徹底したfaca to faceの議論がブレイクスルーを呼ぶのだと僕は思っている。納得いくまで突き詰めることで、予想もしてなかった気づきと大切な仲間を得ると思う。全員が納得いく実践をするためのお手伝いをすることが、今の私のなすべき「ミッション」なのだ。
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カテゴリー: やまね 越境レポート

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