MELC(長岡ゼミ)のブログ

ダンスの空間を考える、小さな一歩。

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party-dance 表紙のサムネール画像

実家である新潟県小千谷市に帰ってきてもう1ヶ月経過し、そして私がダンスを再開して1ヶ月経過した。ゼミ合宿後のブログで世界に発信した「踊る宣言」、有言実行すべく基礎の基礎からたたき直そうと、とりあえず経験値のあるHIPHOPダンスの練習に打ち込む毎日。

そんな中、レッスンを受けていて疑問に思ったことが多々あった。「HIPHOPダンスの服装に決まりなんてないのに、なんでみんなそろったように同じ服装なのだろうか?」「なんで学校のダサい体操着で踊ってしまうのか?」「まじめなのはいいけれども、こんなギシギシした雰囲気で楽しくダンスが踊れるのだろうか?」「毎回変化の無い空間でみんな飽きないのだろうか?」などなど。このもやもやはどうしたらいいのだろう?って悶々としながら、レッスンを受けていた。

———70年代から流行ったディスコ、そこ行けない貧しい人々が公園に集まって「Block Party」と称して自由に音楽とダンスを感じ表現し、抗争の手段とまでなったのが「HIPHOPダンス」。そして「Block Party」では、さまざまな流行が生まれた。ダンススタイルにしろ、服装にしろ、どう自分を格好良く評価してもらえるかという一心で。HIPHOPといって真っ先に上下ダボダボの服装を思い浮かべる方がいると思うが、それはお金のない男の子が兄(または父)の一張羅を勝手に着てそこへ出かけていったのがルーツといわれている。服装というのはHIPHOPの歴史背景からしても、舞踊的な意味からしても、技術面と同様にとても重要なダンスの要素であると信じてやまない。もちろん時代の変化もあり、HIPHOPの文化から発信される流行は刻一刻と変わっているのは言うまでもないが。(HIPHOPの歴史についてはこちらに詳しく乗ってるのでぜひ参考にご覧ください。http://m-space.jp/a/novel2.php?ID=gunmaunivbstyle&serial=14903&page=2&view=1

私の受けていた知っている範囲のダンスレッスンといえば、「先生→生徒」の形式。先生の言った通りに、先生をまねしながら、踊っていく。HIPHOPダンスというのは先述の通り、貧困という制限からの「自由」と、ある種のレジスタントな「格好良さ」を勝ち得たダンスであるにもかかわらず、正直、そのレッスンはまるで軍隊式の体操にしか見えなかった(ごめんなさい;)。レッスンのやり方と服装についてものすごく違和感を感じてしまった。最初私は、自分個人の行動で何かのメッセージを示し続ければ変わると思ったのだが、一旦自分がそのレッスンにコミットしてしまえば、私がどれだけ毎回違う格好をしていようが、どれだけ1人でその場が楽しくなる雰囲気を作ろうが、空振りもいいとこであった。しかしもやもやが止まらない...

 

そういう場所をあたしが作っちゃえばいいんだよね!」


party dance フライヤー

もしかしたら私のテーマである「コミュニケーション×ダンス」につながる部分もあるかもしれないという些細な期待と半ば自己満足のために1人ささやかなプロジェクトを開始した。その名も「Party Dance Project」。完全に「Block Party」からインスパイアされたのは言うまでもない。(笑)そしてワークショップのテーマは「お洒落して、楽しい雰囲気でレッスンし、今までとは違う自分に出会う」。そこから「ダンスをする場所を考える」ということつなげて実施しようと決めた。レッスンにドレスコードなんて変かも知れないが当然ドレスコードを導入。「いつもと違う私」という漠然としたもの。当日みんなどんな格好をしてくるのかわくわくした。

そして、4月26日木曜日、ついにワークショップ当日。一応「レッスン枠」として頂いた約2時間、私は先生をつとめるような力量や経験はないので「MC役・仕切り役」のつもりで、参加者のどんなリクエストにも対応できるよう、今日に向けて振り付け音楽など仕込みに仕込んだ。いつになく緊張MAXな私だったのだが、思っていたよりも当日の参加者の反応や要請が多かったためかなり即興で音を変えたり、メニューを変えたり、せわしなく状況は変わっていった。自分のストーリー通りには行かないところが、一層私のテンションをハイにさせた。ストレッチ、アイソレーション(首・胸・腰・肩などを部分的に動かすHIPHOPダンスの基礎)、アップダウン(音の取り方を練習するHIPHOPダンスの基礎)、振り付け、という流れ。アップダウンでは約1曲4分間半、思い思いにアップやダウンのリズムで踊ってもらった。これは即興的に取り入れた新しい取り組みだが、普段のキツいアップダウンとは想像もつかないほど、笑顔で溢れかえっていた。...しかし普通のレッスンならここで終了なのだが、最後に4人1チームでその振り付けに合わせ、好きなように体系を考えてもらい、発表してもらった。ゼミでWSをするときにかならず何か皆で共有することが大切だと学んでいたので、実践。そして全員で踊って終了。終了後出来るだけ皆に意見を聞きに回って今回のワークショップについて考えた。(画像:今回のワークショップのフライヤー)

「ダンスの緩急」。今回のテーマ達成のためにはこれが無かったと気づいた。今までとは違う自分に気づく為の時間が無かった。参加者の中に終わった後の感想で、「普段のシリアスなレッスンがあるからこそ、今回のワークショップは息抜きとしてはとても役割を果たす」と感じた人がいた。つまり今回のワークショップは完全に楽しいだけで終わっていたのである。様々なワークショップではかならずまじめに自分と向き合う時間がある。その重要な時間を見落としていた。ダンスのワークショップなら、自分と向き合える真面目な仕掛けをギャラリーを行なった後に設けれたら違っていたかなあと感じている。それは最後に全員で踊ることではなく、違う何か…それが何かはまだわからないけど、それがあるのならば従来のHIPHOPダンスレッスンからブレークし、今回のワークショップのような形式が新しいダンスレッスンになるに違いないと思った。スタイルに関係なく、ダンスのワークショップを行なうにあたって、この「ダンスにおける緩急」をつけるためにはどうしたらいいのか、またもやもやが生まれた。

party dance projectのサムネール画像

かし、「ドレスコード」だったり「ギャラリー」だったり、即興で変わるメニューや音楽など、いろんな些細な変革にとまどいながらも、参加者が笑顔で楽しそうに踊っているのを見れて、単純に嬉しかった。楽しい雰囲気だと会話は弾む。「創造はおしゃべりから」と去年のORFの井場研究室のワークショップで慶應義塾大学SFCの熊坂先生がおっしゃっていたように、まさに活発なおしゃべりは、何かが生まれる予感がするものである。頭ではわかっていたけれど、このような経験をすることによって、それは確信にかわりつつある。そして、ダンス自体にコミュニケーション能力を持たせなくても、ダンスをコミュニケーションが円滑に、活発になるツールとして用いることによって、どのようなコミュニケーションが発生するのか考えるのも面白そうであるなと思った。それには「先生→生徒」の構図ではなく、フラットな「集団的」な、まるで原点回帰するように「Block Party」のような混沌とした構図が必要である気がする。何故なのかわわからないけど、そんな感じがする。画像:トロールを会場へ持っていき鏡の前に飾ったらなかなか好評でした。笑)

たくさんの収穫があった第一回Project。これからもどんどん突き進む、いや、どんどん踊り進んでいこうと思うますくんでした。

party dance 集合写真

↑参加者のみなさんと!多謝!

カテゴリー: ますくん ワークショップ

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