MELC(長岡ゼミ)のブログ

好奇心

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自転車競技を小学校二年生で初めて今年で14シーズン目を迎える。朝起きて夜寝るまで自転車の事を考えない日はない。試合で負けて自転車の事なんて考えたくない日も「こんなメニューを取り入れたらもっと…」「サドルの高さを0.2ミリ上げてみるか…」なんて頭の中を自転車の事が駆け巡る。 14年間も自転車を続けている原動力は一体何なのだろう。

 

去年10月にナショナルチーム強化指定選手に選出された。選出されたといってもナショナルチームに入り、国の強化を受けるためには当たり前だが全て自分からアクションを起こさなければいけない。まず、三大主要大会(全日本選手権、国民体育大会、インカレ)で結果を残す事で月に一回、静岡県伊豆市で行われるナショナル強化合宿にテスト生とし参加する権利を獲得できる。この合宿の中でナショナルメンバーと同じ練習をこなし走力や走行技術を細かくチェックされるのだ。もちろんテスト生での参加という事は宿泊費や交通費は全て自分で負担をしなければいけない。トレーニングでは少しでも自分の力をアピールするために必死だ。例え、試合で結果を残していたとしても合宿の中で自分の力をアピールすることが出来なければ強化選手にはなれないのだ。

実は2015年に国体で優勝した私はナショナル強化合宿に参加できる権利があった。しかしその時、私はそうしなかった。昔から日の丸をユニホームに入れ世界の舞台で戦うことに大きな憧れはあったが、その時は日本で活躍出来れば満足だったし、世界の舞台で自分の力が通用するわけがないと思っていた。成長する事が不安で怖かった。今思えば、成長する事を怖がっていたなんて不思議だがその時は、そう感じていた。

次のステップに進む覚悟が出来たのは翌年のインカレを優勝した時である。 主要大会で2度優勝した事で自信がついた事もあるが、何より映像でしか見た事が無い世界の選手達の走りとは、一体どんなものなのか知りたくなった。

初めて参加した強化合宿では最大限、自分の力をアピールすることができ強化指定選手として国の強化を受けることが決まった。そこから私は順調に力をつけ去年の12月にはオーストラリア タスマニア島で初の海外遠征を経験。優勝賞金80万円が懸かる大きな試合から小さな町で行われるレースまで、一日9レースをこなす日も。クリスマスも年越しも関係なく二週間レース漬けの生活を送った。しかし一度も表彰台の上に立つことは出来なかった。日本のレースに比べてスピードが圧倒的に速い。日本では通用した自慢のスピードが、レース展開が全く通用しない。自転車にエンジンがついているのではないかと疑いたくなるほど早い。少しでもペダルを踏みしめる足の力を緩めればあっという間においていかれる。呼吸が乱れ顔は歪み、首がねじれても必死に食らいつく。レース後半の勝負どころでは、すでに体力は残っていない。「ああ、世界レベルってこういうものなんだ」日本で満足していた頃の一年前にいた小さな世界が広がった瞬間。

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気温40℃の中、必死にペダルを踏みしめる

 

今年の3月にはコロンビアで行われたワールドカップに出場する団体種目メンバー4名の一枠を勝ち取り大きなチャンスを手に入れた。 代表戦デビューとなったワールドカップは38か国もの強豪選手がコロンビア、カリに集まり世界一の称号を目指して戦った。世界各国の選手の生の走りは凄まじいものだった。レーススピードは一切緩むことがない。オーストラリア遠征で体感したレーススピードからもう一段階、いや二段階は速い。選手たちの熱い走りにこたえる観客の声援もこれまた凄まじい。地元コロンビアの選手が出てくると耳を塞ぎたくなるほどの大歓声が沸き起こる。今まで経験したことのない会場の雰囲気。日本チームの出走の時間が近づくほどに、しびれるような感覚の興奮と緊張が体を包む。 スタートしてゴールするまでは一瞬だった。4㎞をタイムにして4分9秒、平均時速57㎞のスピードで駆け抜けたが日本記録より6秒、優勝したデンマークチームより10秒遅いタイムだった。タイムとして明確に表れた世界との力の差。分かってはいたが大きい。 オーストラリアで体感した世界よりも、そこには、広く大きな世界があった。 この差を埋められるには、あと何年かかるか分からない。もしかしたら差を埋めることが出来ないまま競技人生が終わってしまうかもしれない。 それでも、私はもっと上の、もっと広い世界を見てみたい。世界選手権のオリンピックのスタートラインに並んだ時の感情は、景色はどんなものなのか知りたい。例え、そこまでたどり着く事が出来なくても、目指す過程でどんな事に出会えて、どんな経験が出来るのか。想像だけで終わらせたくない世界を見るために私はこれからも「好奇心」という原動力のもと突き進んで行く。

カテゴリー: あらいくん

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